#45 専門知識を生産的なものにするためには

#45 自分が産みだすものについて、何を知って何を理解する必要があるか。誰に利用してもらうか?

 知識労働で自分が産みだすのは、物ではなく、アイデア・情報・コンセプトのため、それだけでは生産的ではない、ということの自覚が自分にはとても大切です。

 知識産業は第一次産業。生み出したとしても、他の人にとっては、そのまま使うことができません。
伐採してきた木に似ていて、そのままでは一般の人が使うことはできず、家具や道具の一部に加工されることで使うことができます。知識労働で生み出されるアイデアなども同じです。
 そもそも、どんな意味があり、特徴があるのか。

 一方で、社会で必要とされているものは何か、困っていることはなにか。
 それらに対して、この知識は役に立つことがあるのか、など、専門知識を生産的なものにするためには、社会(顧客)の事情や状況に対する、意義や役割を理解する必要もあります。自分が生み出したアイデアなどを利用してもらうことを目的に相手を探すのではなく、外の世界との関係の中で、専門知識の活かし方・活用の仕方を考えます。

 なかなか難しいですね、自分から生み出したものが起点になっていると、そこに拘りも生まれてしまいます。
結果、誰からも必要とされないものを作ってしまうと、生産性は上がらないままです。

 自分の持っている物が誰からも理解されないと、生産性は上がりません。成果をあげるには、他人によって理解されなければなりません。コンサルティングのようなお仕事は、目には物として見えないものを扱っているからこそ、理解されないことには始まりません。自分の一番の課題です。

 

必要なことは、専門家自身に彼と彼の専門知識をもって成果をあげさせることである。言い換えれば、自らの産出物たる断片的なあものを生産的な存在にするために、何を知り、何を理解し、誰に利用してもらうかを考えさせることである。

P.F.ドラッカー 「経営者の条件」