Vol.56 人の強みと弱みは表裏一体 

#56 弱みの無いことを求めていないか

 

 弱みの無い人はいません。にもかかわらず、なぜか、「完全な人、弱みが無い人」を探してしまうことがあります。

 大きな強みをもつ者はほとんど常に大きな弱みをもつ、と言われています。強みと弱みは表裏一体。ある資質も、一面から見たら強みですが、他面からみたら弱みです。

 たとえば自分は、コツコツ続けられる質、小さな変化に気づく質、があります。おそらく、成果が上がる時の時間の進行速度が多少はゆっくりなのだと思います。
 でも、この質が弱みとなると、「突発的な場面での対応が苦手」というような反応として現れます。

 「強み」「弱み」と表現をしますが、捉えている物としては一つ資質です。
 そう考えられると、「あの人の、あの面は強みだけれども、それが弱みとなって出てくることもあるのだな」と予め認識しておくことができます。「今、どちらの面が立ち現れているか」だけなのだということです。

 「強み」としての面を活かす!
 そう決めればいいだけのことですが、実際の場面では難しいのは、自分自身に対して「完全でありたい」「弱みを無くしたい」と思っているから、なのかもしれませんね。自分自身に対してそう思っているから、人に対しても完全を求めてしまうのかもしれません。

 人のことも、自分のことも、「弱み」という捉え方に気をとられないように。

 

  

できることではなく、できないことに気をとられ、弱みを避けようとする者は弱い人である。おそらくは強い人に脅威を感じるのであろう。しかし部下が強みをもち成果をあげることによって苦労させられた者など一人もいない。

P.F.ドラッカー 「経営者の条件」