Vol.3 命の傍らに居る救急外来の看護師さんの仕事

#3 命の傍らに居る救急外来の看護師さんの仕事

  • 1.思いがけない救急受診 看護師さんの言葉で状況が分かった
  • 2.短い言葉で知った事の重さと助かったことに安堵の涙が流れた
  • 3.日常的に行っているからこそ出て来る言葉と向けられる優しさ

1.思いがけない救急受診 看護師さんの言葉で状況が分かった

食べ物でアナフィラキシー(=重度のアレルギー反応)が初めて起き、救急外来のお世話になりました。病院に辿り着いた時、症状は、吐気と腹痛、咳、全身の蕁麻疹とかゆみ、呼吸苦まで広がっていました。すべてが初めてのことで、身体の苦しさだけでなく、「どうしよう、どうなっちゃうんだろう」とパニックにもなっていました。

救急外来の医師と看護師さんの対応で命は助かりました。10日間入院し、様々な場所で看護師さんの看護を受けました。それぞれの持ち場によって看護師さんの特徴があるように思いました。改めて医療従事者のみなさん、ありがとうございました。今回のコラムは救急外来の看護師さんの仕事についてです。

救急外来に到着し、問診票に名前や症状を書きました。気道の浮腫みが始まっていたようで、負荷の重い運動をした後に息が上がっているような、呼吸に苦しさがありました。問診票を前に看護師さんは「名前、書ける?」と声を掛けながら対応してくれました。その時は、今思えば、症状の重さを私の対応から整理していこうということだったのでは?と思います。

処置室に入り車いすからベッドに移動し、パニック状態も落ち着いて来ました。「病院まで来たから大丈夫だろう」安堵の気もちが生まれていました。お医者さんに「アドレナリンを腕に打ちますが、いいですか?」と聞かれました。訳も分からず「アドレナリン?(ですか?)」と聞き返したのですが、すると看護師さんが一言

「助かるためだよ」
と短く答えてくれました。

助かるため、とは。これを打たないと死ぬってこと?
まさかそんな重い状態になっていたとは、正直まったく思わなかったので驚きました。


2.短い言葉で知った事の重大さと助かったことに安堵の涙が流れた

「助かるためだよ」
シンプルな言葉ながらもあまりの内容の分かりやすさに、一瞬で事の重大さを認識しました。内心は「病院まで来たし大丈夫、痒いのも息が苦しいのも落ち着いてきたし」と思っていたのです。それが、この注射を打たないと死ぬかもしれなかったなんて。なんて事だろう。注射を打ってもらって目じりにポチッと涙粒が浮かびました。

処置が早かったため状態も安定しはじめ、ベッドのまま検査室に移動しました。重症だったことや、今日はこのまま検査にうつり、結果が出るまで1週間ほど入院することをお医者さんから告げられました。

まさかの入院。あまりの急展開、起きたことの重大さに、病院に来る前のパニックとは違う不安を感じ始めていました。「なんてことになってしまったんだろう」「とんでもないことだ」ドキドキしながらベッドに横たわったまま検査室に運ばれて行きます。

そんなわたしの気持ちを知ってか、検査室へ向かうベッドを押しながら看護師さんが声をかけてくれました。
「よかったね。だいぶ落ち着いたね。良かったね。」
そうか、よかったんだ、だいぶ落ち着いたんだ、ホッとしました。大変な時は乗り越えたんだ、大丈夫なんだ。再びじんわり涙でした。


3.日常的に行っているからこそ出て来る言葉と向けられる優しさ


救急外来の看護師さんの要所での声掛けが自分の気持ちに与えた影響は、とても大きかったと思います。

「助かるためだよ」
「よかったね、だいぶ落ち着いたね、よかったね」

短い一言で明確に、わたしの状況を伝えてくれたことに感謝ですし、初めて受診する救急外来の看護師さんの仕事というのはこういうものなのかと感じました。

「日頃から、このような対応をしているからこそ、出てくる言葉なのだろうな」と。

救急では一刻を争うような状況下で命に関わる患者さんを診ることもあるはずです。そのような時に、長々と説明は出来ないでしょうし、専門用語などの分かりにくい言葉は患者さんに伝わりません。シンプルで分かりやすい言葉が刺さります。
また、身体の状況を客観的に捉えて患者本人に伝えることも、とても必要なことだと思いました。
救急のお世話になるような場合、自分の身に何が起きているのか、パニックや不安から分からない場合もあります。そんなとき、自分の状況を分かりやすく伝えてもらえたことは、その後の生活にも活かされました。
「もうあんな危ない目に自分を逢わせてはいけない。これからは自分を大事にしなければ」
と感じたのも、救急の看護師さんの存在は大きかったです。

短時間にシンプルに的確に状況を説明する言葉を普段から使い、
冷静に状況を把握する視点を安心感と共に患者さんに届ける
生死に関わる場面だからこそ、物言いは淡々ときっぱり、でも優しさは忘れない

緊張感を一番感じた場所が救急外来でした
その中で看護師さんから掛けられた言葉と向けられたエネルギーは、退院後数か月経っても鮮明に思い出されています。


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「この対応がうれしかった」「この声掛けがありがたかった」

そう感じられたことが、みなさんにも必ずあると思います。
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