Vol.59 人の弱みを中和するには

#59 弱みの克服のために人事を行っていないか

 

 弱みのない人はおらず、強みだけを持つ人もいません。どんな人にも言えることです。

ですが、「人を教育する」という視点からか、弱みを克服することを目的に仕事を任せるとしたら。大そうな役割では無いかもしれませんが、小さなことだと、意外とありがちなことかもしれません。

 冗談を言えない、場の雰囲気を軽くできない、というのが弱みの自分に、もし、「一日一個、おもしろいことを言って皆を笑わせることを、今日から仕事ね」と言われたら、とても嫌だなと思います。迷惑な話です。

 自分一人では成果をもたらすことができないから、組織に属して働くわけです。一人で成果をあげられるならば一人で働いた方がいい。
 その基本に立ち返ると、それぞれが自分の強みを活かし、自分ではできない部分は組織の力・他の人の力を得て、組織として成果をあげる、と考えるのはごくごく自然なことだと思わされます。

 「他の人を変えたがる」傾向が、人にはあるのかもしれません。

 ですが、強みも弱みも、持って生まれた資質なので、そう簡単に変わる物ではありません。
 組織の一員として働くことができるならば、大いに組織の力を活用した方が良いですし、弱みが仕事や成果とは関係ない個人的な特徴になるように、組織をつくることに力を尽くしたいと思います。

 

組織とは、強みを成果に結びつけ、弱みを中和し無害化するための道具である。

P.F.ドラッカー 「経営者の条件」