Vol.6 患者に何を伝えるか 薬剤師の仕事
#6 薬を処方する際の患者さんとのやりとりは調剤薬局によって違いがある
- 1.意外と無かった調剤薬局を選ぶ基準
- 2.聞き流していませんか 薬剤師さんの一言二言
- 3.人を相手に行う仕事に当てはまること
1.意外と無かった調剤薬局を選ぶ基準
病院を受診すると薬が院外で処方されることがあります。調剤薬局は、病院の近くやドラッグストア内など、昔に比べると数が増えました。
これまで、自分が調剤薬局を選ぶ基準は、利便性(〇〇のついでに行くことが出来る場所、あまり待たされない場所)やお得感(ポイントがたまる)でした。
しかし、入院を経験して薬を飲むようになったことで、薬を受け取る時に薬剤師さんから質問される内容や説明をされる事柄に、調剤薬局さんごとに違いがあるのを感じました。
その調剤薬局さんを利用するのは初めてでした。利用者のデータとして必要なのかだと思いますが、アレルギー反応を示す食べ物の品目や、アナフィラキシーが起きた時の具体的な症状を詳細に聞かれました。そのたびに「えー!それは!!!」と心から驚かれているようで、「それは、苦しかったですねー、助かって本当に良かった」とこちらに寄り添ってくださっているのが、よく伝わってきました。
話しながらカルテのような物に品目を記録をしていましたが、事務的に「この人についてのデータをとっておこう」という感じではなく、医療者の一人として、病気の人の心のケアになるように、と、対応くださっているのが伝わってきました。あくまでも個人的な体感ですが、入院のように今までに無いダメージを心身に受けると、外部の人からの「当たり」の中に、どんな思いを自分に向けられているか(いないのか)が、なんとなくですが感じられます。
2.聞き流していませんか 薬剤師さんの一言二言
続いて、処方薬の説明を受けた際、
「このお薬は長く飲み続けての問題は報告されていませんので、安心して服用ください」
と告げられました。
「あれ?こんな説明はこれまで他で聞いたことがないんじゃない?」
内心ハッとしました。
長期服用による副作用がある薬は処方されないのだと思いますが、これまで消化器や内科の症状で他の薬局で薬を処方された時も、このような説明を聞いた記憶はありませんでした。わたしが忘れてしまっただけなのかもしれませんが。
ですが、食べ物のアレルギーという、言わばずっと続くかもしれない疾患に対して「飲み続けても問題のない薬である」ということは、どれだけの安心材料になるか、言われて初めて感じました。
薬は自然の物ではないので、できればあまり飲みたくありません。「長く服用しても問題ありませんよ」その一言が安心の材料になりました。
「用法容量を守って正しくお使いください」
とコマ―シャルでも流れるように、使い方や服用の仕方を告げられることはあっても、その後の体調への影響まで患者に伝えてくれたことは、わたしの知る限りでは無かったと思います。
3.人を相手に行う仕事の大部分に当てはまること
薬と一緒に説明書きも手渡されますし、その中に、副作用のような体への反応は詳しく記載もされています。どちらの薬局で処方されても、処方時の情報提供としては全く不足ないのだと思います。
だからこそ、目の前に居る患者さんに直接「何を伝えるのか」「何を聴くのか」は、調剤薬局ごとに違いが生まれる点だと感じました。そして、その違いは、調剤や処方というプロセスが、患者さんが自分達の薬局を利用することで何を得られると良いと考え行われているのか?に基づくものだと捉えました。咄嗟に場当たり的に口から出た言葉ではなく、「こういう理由があるから、口頭で説明する時にはこの情報を伝えよう」と予め考えられトレーニングを経て、プロセスの中に自然に組み込まれているのでは無いでしょうか。
伝える内容によっては、日々の努力や研鑽も必要かもしれません。それらの積み重ねがあってのことなのだろうなと思いました。
そのように考えると、一言何を添えるかは、どのような仕事でもとても大切なものだと感じます。「何を伝えるか」「そのために何を事前に準備するか」
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